妻は夫にコーヒーを淹れるのをやめて、夫は妻に花束をプレゼントしよう

カップルが性的情熱を失う原因のひとつに、夫婦関係が「母と息子」に変化していることがあります。今回は「母と息子」の関係になってしまった夫婦の特徴、そして、それを変えるためのコミュニケーションについてお話します。
此花わか 2021.11.10
誰でも

こんにちは。セックス・エデュケーターでジャーナリストの此花わかです。

妻を恋人として大切にするようになって、5年ぶりにセックスが戻った!

先日、私に相談して下さったレスられ夫(結婚歴9年、レス歴5年)に「朝のコーヒーを淹れてあげること」「サプライズで手書きカード付きの花束やチョコをプレゼントすること」「マッサージをしてあげること」をアドバイスしたら、5ヶ月ほどでレスが解消したとの連絡が来ました!

この男性の妻はもともと性的欲求があまりなく、出産をきっかけに夫をセックスを拒否するようになっていました。最初は「疲れているから」とやんわり断っていた彼女でしたが、最後のほうは「ウザい」とかなり邪険に拒否するようになり、レスの最後の3年ほどは、夫も拒否されるのが怖くて妻をセックスに誘えなかったとか。夫婦仲は普段はよいのに、セックスレスだけが夫にとっては問題でした。

彼の妻のように、もともと性的欲求があまりないという女性は、アセクシュアル、性的抑制要素をたくさん抱いている、オーガズムを感じたことがない、日々のストレス……などが原因の可能性がありますが、レスを"何年もこじらせる"という現象は、夫婦関係が母子関係になってしまうことが一因のケースもあります。この夫婦はその典型で、妻が夫に日頃から小言を言う口うるさい"お母さん"になってしまっていた上に、夫も妻を"恋人"として大切にしてこなかったことも原因だったようです。

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"お母さんと息子"になってしまう夫婦

ネトフリが配信するグウィニス・パルトローのリアリティ番組「セックスと愛とグープ」には性的に不幸せな様々なカップルが登場し、セクソロジストが施すワークショップを通して問題を解決していきます。とても参考になるのでぜひ観てみて下さい。

なかでも、登場するカップルうちの1組のドイツ人夫婦は、妻のほうが性格が強く、日常の決断をすべて行っていました。妻はそんな日々に疲れ果てて不満を感じ、夫に"性愛"を抱くことができなくなり離婚したいと思うように。一方、優しい夫は妻の"顔色"を伺い、妻を女性としてどのように愛してよいか分からなくなっていました。

このように、夫婦関係が"母子関係"に変わってしまうことは珍しくありません。以下がその兆候です。

夫が妻の"小さな息子"になっているサイン

・ワンオペ育児を妻に強いている

・料理や家事を一切しない

・妻にサプライズでプレゼントをしたり、ロマンチックなデートを企画したりしない

・自分の友達、趣味、ひとりの時間をもたない、あるいは、妻の自由を尊重せずに自分の自由ばかり優先している

妻が夫の"お母さん"になっているサイン

・夫の友達付き合い、服装、マナー、趣味、仕事やライフスタイルに日頃から細々と文句を言う

・自分が留守にするときに食事を作り置きする、コーヒーやお茶を毎日淹れてあげる、毎日お弁当を作る……など夫に家事を一切させず、あれこれ世話を焼いたり、尽くしたりしている

・自分の友達、趣味、ひとりの時間をもたない

・育児や家事をすべて自分でやってしまう(我慢して夫と交渉しない)

妻があれこれ世話を焼きすぎるお母さんになると夫は"傲慢でワガママな息子"に、妻が口うるさいお母さんになると夫は"気弱な息子"になってしまいます。けれども、妻がお母さんになってしまうのは、何も妻だけのせいだけではなく、夫がそもそも妻を"恋人"として扱っていないことも根本にあります。

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ロールプレイで夫婦の立ち位置を逆転させる

「セックスと愛とグープ」では"お母さんと子供"になってしまったドイツ人夫婦に性的情熱を蘇らせるために、ロールプレイをして、プレイフルに2人の立場を逆転することをセクソロジストは教えました。ベッドでは妻はより従順な女性に、夫はより強い男性のロールプレイをして遊ぶ。2人の場合、夫は王様に妻はセクシーな豹になっていました笑。

すると、強い妻は"封印されていた柔らかな女性性"が、気弱な夫は"抑圧されていた男らしい男性性"が刺激されて、2人は恋人の関係性を取り戻しました。このようにカップルにとって、ロールプレイは日常の力関係を逆転することで夫婦のバランスを保ち、新しいセックスを"楽しみながら"試みるのに非常に有効だと多くのセクソロジストが推奨しています。(ロールプレイのやり方はまた後日紹介します)

しかしそれ以前に、日常的にカップルが恋人の関係性を保つコミュニケーションの方法があります。これは、進化心理学に基づいた男女の傾向に、アメリカのセクソロジストのアヴァ・カデル博士が30年もの臨床経験を経てオススメしている方法です。

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夫ができる、愛を高める10のコミュニケーション

①    妻にコーヒーやお茶を朝淹れてあげる。特に週末は必ず淹れる

②    突然、「好きだよ」などのメッセージを妻に送る

③    サプライズでピクニックを企画する

④    2人で写った写真(昔のものでもよい)を自分でフレームに入れて家に飾る

⑤    手をつなぐ

⑥    定期的に2人きりのデートを企画する

⑦    妻がお風呂から出てきたときに「キレイ」「可愛い」などと褒める

⑧    妻に頼まれる前に食器洗いをする

⑨    セックスを期待せずにマッサージをしてあげる

⑩    何かしてもらうたびに感謝の気持ちを伝える

妻ができる、愛を高める10のコミュニケーション

①    夫にひとりの時間をあげる

②    夫の趣味に、自分のできる範囲で興味をもつ

③    夫の友達や家族に対して、夫の目の前で夫を褒める

④    夫の母親の悪口を言わない(無理に仲良くする必要はないし、母親に理不尽な扱いをされたら断固NOと言うべし)

⑤    「あなたといると安心」と伝える

⑥    日常の家事や育児で夫ができることは、できるだけ夫にお願いする。仕事の相談をする

⑦    セクシーなセルフィーを突然送る

⑧    外にいるときは夫を恋人として扱う

⑨    自分からセックスに誘う

⑩    彼が何かに夢中になっているときは側にいてもそっとしてあげる。その時間を自分の趣味に使う

これらはカップルそれぞれが"自分軸"を大切にしながら、お互いへの愛を表現することで恋人関係を維持するコミュニケーションです。なんでもルーチンになってしまうと人間は好奇心や情熱を失うので、突然ラブレターを書いたり、セクシーな写真を送ってドキドキさせるのがキモ

ちょっと個人的な話で恥ずかしいのですが、私はた~ま~に夫にセクシーなセルフィーを送っています。夫、めちゃくちゃ喜びます!笑 夫いわく「ストレスを感じながら仕事をしているときにああいうのを受け取ると、ほわ~っと癒やされる」そうです。

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長期間のリレーションシップにおいて愛やセックスのアップダウンは必ずあるので、おおらかな気持ちで"楽しみながら"コミュニケーションを育みましょう。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

それではよい一日を!

此花わか

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